縁起がいい!?ふぐの歴史や定番の食べ方
This post is also available in English
ふぐには猛毒がありますが、日本にはふぐを調理して食べる文化があります。ふぐの毒を取り除く専門の免許があり、料理店では毒を取り除いたふぐが提供されます。
一般的にふぐといえば、高級料亭で提供されるトラフグのイメージが強く、高級食材と思われがちです。しかし最近は、家庭で調理することができる加工品や、サバフグなど毒がないふぐも販売され、気軽に味わえるようになりました。今回はふぐ料理についてご紹介します。
コンテンツ
ふぐとは
ふぐは地方により、さまざまな名前で呼ばれます。かつては「ふく」と呼ばれました。現在でも下関や北九州などでは、「福(ふく)」につながることから、縁起をかついで「ふく」と呼ばれ続けています。怒ると腹を膨らませる(ふくらませる)、餌を探すために水を吹く(ふく)などが由来とされています。
ふぐの食べ方
ふぐ刺し
ふぐの身の刺身です。関西では「てっさ」と呼ばれます。ふぐの淡白な旨味と、コリコリとした食感が味わえます。ふぐの身は弾力が強く噛み切れないため、盛り付けても皿の模様が透けてみえるほど薄く切ります。ふぐ刺しは、鶴や菊のように美しく盛り付けられるので、目で見ても楽しめます。ふぐの皮を湯引きして冷やし、細切りにしたものが添えられることもあります。お好みで薬味をつけて、ポン酢につけて食べましょう。
ふぐ鍋・ふぐ雑炊
ふぐの身と野菜などを昆布だしで煮込んだ鍋料理です。関西では「てっちり」と呼ばれます。お好みで薬味をつけて、ポン酢につけて食べましょう。食べ終わったら、残ったスープにご飯をいれて雑炊を作り、最後の一滴まで楽しみましょう。
ふぐの唐揚げ
ふぐの身の唐揚げです。ふぐ料理のなかでも簡単で、家庭でも挑戦しやすい料理です。ふぐの淡白な旨味を損なわないよう、あっさりした味付けにするのがオススメです。お好みで、レモンやカボスのしぼり汁や、塩をつけて食べましょう。
白子
ふぐの精巣です。高級な食材で、塩焼きや天ぷらにします。遠火でじっくり焼くと、外側がカリっと香ばしく、中が濃厚なミルクのようになります。丁寧に裏ごしして日本酒と混ぜると濃厚でまろやかな味わいになります。
ひれ酒
ふぐのヒレを乾燥させ炙ったものを、熱燗(あつかん:温めた日本酒)に浸して、ふぐの旨味を酒に移し、楽しむ飲み方です。ひれは弱火でしっかりあぶり、熱燗は熱めに作りましょう。失敗すると生臭くなってしまいます。飲む前に火をつけて少しアルコールを飛ばすと、まろやかになります。(火が消えてから飲みましょう。)
ふぐが禁止された時代
ふぐを食べるようになったのは、縄文時代です。しかし毒の知識がなかったため、ふぐ毒による死者が相次いだことから、豊臣秀吉がふぐを食べることを禁止しました。武士には厳しい処分があったといいます。しかし禁止されていた間も、庶民は隠れてふぐを食べ続けていたようです。大阪でふぐの刺身を「てっさ」、ふぐの鍋を「てっちり」と呼ぶのは、当時、ふぐを隠語で「てっぽう:めったに当たらないが、当たると死ぬ」と呼んだことに由来します。また食文化が発達した江戸時代の料理本には、毒の処理方法や味付けなどが記されています。明治21年、伊藤博文によってふぐを食べることが解禁され、山口県下関市「春帆楼(しゅんぱんろう)」が、免許を受けてふぐ料理を提供する最初の店となると、全国にふぐを食べる文化が広がっていきました。
ふぐ専門の免許
現在日本では、22種類のふぐに限り、食用として許可されています。ただし、ふぐによって食べることができる部位が異なるため、ふぐの種類や毒のある場所を理解し、正確に取り除くことが必要です。そのため、ふぐ専門の免許があります。
家庭で調理するときは、資格を持った職人が毒を取り除いた加工品を購入しましょう。