散り際が美しい、桜の儚さに魅せられる日本人

2019-03-12 その他

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冬の寒さが終わりを告げ、柔らかな春の日差しを感じる頃、日本は桜色に染まります。

白く霞む青空に広がる薄紅色した満開の桜、公園には「お花見」を楽しむ人々、桜をモチーフとした和菓子やスイーツや桜をあしらったさまざまな期間限定・日本限定の商品が店頭に並び、さくらの情景をうたった楽曲が街に流れる。それはまさに春の訪れ。桜は「日本の春」の代名詞なのです。

なぜそこまで、桜は人を魅了するのでしょうか。今回はその魅力を、ちょっと真面目に紐解きます。

桜を愛でる理由

桜が花開く期間「花の命」は一瞬です。同じ地域の桜は一斉に開花し、開花からわずか2週間も経てば、満開に咲き誇っていた姿が幻だったかのように、一斉に散ってしまいます。

満開の桜が一斉に咲き乱れる「圧倒的な美しさ」はもちろん、あっという間に散ってしまう「儚さ」、散りゆくことを厭わない「潔さ」も、桜が愛されている要素ともいえます。

移り変わりが激しい世の中で、一定の状態を保てない『諸行無常』の感覚に古くから桜は、たとえられており、人は生まれていずれ死ぬ、人生の儚さを投影する対象でもありました。
「もののあはれ」という言葉が意味する情趣や哀愁は、日本人特有の価値観です。 だからこそ桜の生き様は、日本人の精神に根ざしていったのでしょう。

日本の文化、歴史に馴染みが深い

春の桜の開花は農業を開始する指標とされたことから、昔から「桜には穀物の神が宿る」といわれていました。万葉集や古今和歌集といった和歌集には、桜を題材にした和歌が数多く収録されています。平安時代には花見が始まり、徒然草という随筆にも登場します。

江戸時代になると河川の整備に伴い、護岸と美観維持を兼ね、桜が多く植えられるようになりました。品種改良が繰り返され、現在では数百種を超える品種が確認されていますが、特に江戸時代末期に出現した「ソメイヨシノ」は日本全国に広がりました。今では「花見といえば桜、そして桜といえばソメイヨシノ」を指すほど、最もポピュラーな品種となっています。

桜はいつ咲くの?

気候の影響で多少変動するものの、3月下旬から4月上旬が平均的な開花時期です。毎年2月頃になると地域別の「桜の開花予想」がメディアなどで報じられます。

開花日・満開日は、エリアごとに予想されます。一般的には、気候が温暖な南の地方から咲き始め、関西、関東、東北、北海道と北上していくのが一般的です。

桜は一斉に咲き、満開になったと思ったらすぐに一斉に散ってしまうので、花を楽しめる期間は短く限られます。また気温や風雨などにより、お花見日和は変わっていきます。桜を楽しむには、桜の開花情報、満開予想などを、こまめにチェックすることが必要です。

桜の楽しみ方は人それぞれ

日本には全国各地に桜の名所と呼ばれる観光地があり、春になると「お花見ツアー」などの企画を、旅行代理店や情報誌で探すことができます。

身近なところでは、公園などで桜の木が見える場所にレジャーシートを敷き、食事やお酒を楽しむ「お花見」が人気です。一部公園などでは、飲食・飲酒を禁止している場合がありますので、事前にチェックしてからでかけましょう。

また桜並木をサイクリングやウォーキングをしながらお花見をするスタイルも人気です。

学校の校門や校庭にも桜が植えられていることが多く、桜を背景に入学式の記念写真を撮るのもよい思い出になると思います。

夜に花見をする夜桜見物も人気を集めており、桜の名所では特別なライトアップを行う場所もあります。

満開の桜を楽しめるのは、1年のうちでもほんの数日。その一瞬を楽しめるのは、日本に住んでいる醍醐味ではないでしょうか。満開の桜の圧倒的な美しさ、風に舞う桜吹雪の儚く潔い美しさをぜひ堪能してみてください。


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