家の中に仏壇と神棚があるのはなぜ?日本人の不思議な宗教観に迫る!

2018-12-19 その他 , 暮らす

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2つの神様を祀る、日本の不思議な宗教観とは?

日本には仏壇と神棚を祀っている家庭があります。仏と神、全く異なる性質のものを同時に崇拝するという日本人の考えは不思議ですね。1つの宗教を信仰する思想を持っている国では、複数の神が存在し、複数の宗教が混在する日本の文化は理解しにくいものです。

日本では仏壇が置いてある家で神棚に手を合わせるのは全く普通のことで、そこでクリスマスパーティーをするのも当然のようになっています。神道と仏教は全く別物なのに同じ空間で祀るなんて信じられない話ですが、日本では古来より自然と行われているのです。なぜ、日本人の宗教観は諸外国と大きく異なっているのでしょうか?今回は、仏壇と神棚、それぞれの意味を追いながら、日本人独特の宗教観について紹介します。

仏壇と神棚、それぞれの意味は?

仏様を供養するための仏壇

仏壇は、日本の一般家庭に置かれている仏教を礼拝するための施設です。仏教寺院で本尊を祀る場所を小型化して、家の中でも拝めるように作られています。仏壇の目的は、亡くなった人たちを「仏様」と呼んで供養するためにあります。

私たちの祖先を「ご先祖様」と呼んで敬いながら、彼らを供養するとともに私たちが子孫を残し、栄えていけることを感謝する目的もあります。神様と仏様にお祈りする目的は、それぞれ異なっています。まず神様には何かをお願いする念を込めて祈りますが、仏様には供養や感謝の念を込めて祈るという違いがあるのです。

仏壇の周り、または仏壇が置くスペースがある「仏間」と呼ばれる和室にはご先祖様たちの写真が飾られていることがあります。ご先祖様の写真を拝みながら、さまざまな報告や祈りを捧げて、感謝の気持ちを伝える目的があるからです。ご先祖様への祈りや、スピリチュアルな心の支えとして、仏壇は日本人の生活に密着しているものなのです。

ご利益を願うための神棚

神棚は、神道の神様をお祀りするために設けられた棚のことです。日本の家庭や事業所などの、できるだけ明るく清浄な見上げる位置の北か西に、御札が南か東を向くように設置するのが良いとされています。神棚を拝んで、神様に祈りを捧げる目的は家庭内の無病息災・家内安全を願うことや、何かを強くお願いすることなどがあります。

ただ、神棚だけを部屋に飾ればいいという訳ではありません。神様そのものとされている『御札』を神社でもらって神棚の中に安置し、お祀りするのです。神棚の祀り方には地域ごとや家庭によって異なるので、特に決まったスタイルはありません。神棚に触れる上で大切なことは、神様を敬う心です。

神札ともいわれる御札を、神様そのものとして拝むのはなぜでしょうか?日本では古来より、世の中のあらゆるものに神様が宿っていると信じる考えがあります。木々や草花、石ころにも神が宿るという価値観なので、御札も当然、神様だと信じれば敬う対象となるのです。日本人にしかない、神秘的な価値観ですね。

日本では、複数の神様を信仰するのが当たり前?

日本には複数の宗教が溶け込んでいる

日本では古来より、「万物に魂が宿っている」というアミニズムの考え方が伝えられています。前項でも説明しましたが、日本人は世の中のあらゆるものに神様が宿っているという独自の感性をもっています。神様は一人だけではなく複数存在するものだと認識されているのです。

単一の宗教を信仰して、常にその宗教を意識しながら生活している国の人々にとって、日本人の宗教観は理解しにくいものだといわれています。日本人は宗教そのものを、伝統や文化に近い感覚で柔軟に受け入れながら生活しているのではないでしょうか?

知れば知るほど面白い、日本の宗教観

海外では日本は仏教や神道の国というイメージが強く、日本人といえば仏教や神道の信徒だとの認識を持たれていることでしょう。確かに人々の間には仏教や神道の教えが浸透していますが、キリスト教など他の宗教も入り混じり、それらを信仰している人もいます。仏教や神道以外の宗教が混在していることが全く普通である日本人の感性には驚かされますね。

複数の宗教が自然と生活に溶け込み、それらが当たり前のように考えられている日本では、一つの家庭内に神棚と仏壇を祀ることは至って普通のことです。仏壇が置かれている家でクリスマスを祝って、元旦には神社の初詣に行くなどは宗教的な行事だと意識されていないのかもしれません。宗教行事はエンターテイメントのひとつとしても考えられているのではないでしょうか?

神棚と仏壇に触れながら、日本の不思議な宗教観を見てみませんか?

いかがでしたでしょうか?今回は日本の家庭に神棚と仏壇を同時に祀るという不思議な風習から、日本人の宗教観について探りました。日本人の宗教観は一言で説明することが難しく、これと言った答えがありません。ですが、その答えがあやふやなものであるからこそ、神秘的に感じられるのです。

日本の家庭にお邪魔する機会があれば、神棚と仏壇を実際にこの目で見てみるのも面白いですよ。日本の宗教に触れることで、もっと日本文化への興味が深まることでしょう。


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