産前産後休業・育児休業とは?給付金や手当を簡単解説

2019-11-28 その他 , 働く

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以前の記事「外国人女性が日本で妊娠したら?」でご紹介したように、日本では、妊娠・出産にかかる費用は健康保険の対象外のため自己負担になります。さらに出産や育児によって仕事を休む場合は、給料もないため、経済的な心配がともないます。そこで今回は、産前産後休業・育児休業に対して、勤務先の健康保険や厚生年金に加入している方が受けられるサポートについて概要をご紹介しましょう。

取得できる休業の種類

  • 産前産後休業
    通称:産休。出産前・出産後に休業すること
  • 育児休業
    通称:育休。育児のために休業すること
    女性だけでなく、男性も取得できる。
    * 法律によって定められた「育児休業」と、企業が独自に設定する「育児休暇」があります。このコラムでは「育児休業」について説明しています。

産休・育休に対する経済的なサポート

働いている人が産休・育休を取得する際に受けられるサポートには、次の4種類があります。いずれも申請が必要ですが、勤務先や病院から申請してもらえるものもあります。それぞれ、いつ誰がどこに申請する必要があるのか、自分が取得可能なのか、いつ頃支給されるのか、支給される金額の目安など、細かい条件も含め、事前に確認しておきましょう。

  • 【免除】社会保険料
  • 【支給】出産手当金
  • 【支給】出産育児一時金・家族出産育児一時金
  • 【支給】育児休業給付金

社会保険料

健康保険に加入している方が産休もしくは育休を取得した場合、休業開始月から終了前月までの社会保険料が、本人・企業ともに免除されます。

いつ:産前休業開始時及び育児休業開始時(それぞれ申請が必要)
だれが:企業
どこに:年金事務所
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/menjo/20140327-06.html
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/menjo/20140327-05.html

出産手当金

健康保険に加入している方が、出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)の42日前から、出産翌日以後56日目までの範囲内で、産休をとった日数分、賃金の3分の2が支給されます。ただし多胎妊娠の場合は、出産日の98日前から対象となります。

賃金とは、出産手当金の支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した金額です。支給開始日以前の期間が12か月に満たない場合、退職することになってしまった場合など、さまざまな条件によって支給額は異なるので、注意しましょう。

いつ:産後休暇終了後
だれが:本人及び企業(医師・助産師の記入が必要)
どこに:健康保険組合
http://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat315/sb3090/r148

出産育児一時金・家族出産育児一時金

健康保険に加入している方もしくはその方が扶養している家族が、妊娠4か月(85日)以上で出産をした時に、出産費用補助として、赤ちゃん1人につき通常42万円支給されます。(産科医療費補償制度に未加入の医療機関で出産した場合は404,000円。)多胎妊娠の場合は、胎児の数だけ支給されます。妊娠4か月(85日)以上を経過していれば、流産や死産の場合であっても一時金を受け取ることができます。直接支払制度が利用できる場合は、病院へ直接支払われるので安心です。

出産一時金については、状況に応じてさまざまな条件があり、それぞれ申請に必要な書類や手続きが異なります。特に海外出産を検討している場合は注意が必要です。必ず事前に詳細を確認しておきましょう。

だれが:本人または病院
どこに:健康保険協会
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31712/1948-273

育児休業給付金

雇用保険に加入し、一定の基準を満たしている方が、赤ちゃんが生まれてから1歳になるまで育休を取得した際、育休をとった日数分、最初の6か月は賃金の3分の2が支給されます。6か月経過後は50%となります。条件によっては、支給期間が延長される場合もあります。条件を満たせば、女性だけでなく男性も取得可能です。

賃金とは、原則として育休開始時の賃金日額ですが、非常に条件が複雑です。申請も1度だけでなく、2か月ごとに行う必要があります。企業ではなく本人から申請することも可能ですが、申請の度に、書類の作成など勤務先の協力が必ず必要となります。早めに相談するようにしましょう。

いつ:初回は育児休業開始から2か月後(以後2か月おきに申請)
だれが:企業(本人でも可)
どこに:ハローワーク(公共職業安定所)
https://www.hellowork.go.jp/insurance/insurance_continue.html#g2

住んでいる地域・勤務先独自の支援制度も調べておこう

今回ご紹介したサポート以外にも、住んでいる地域(市区町村)や勤務先で独自の支援制度を設けている場合があります。一度、確認してみましょう。


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