TOTOに聞く!日本のトイレの歴史と発展

2020-07-22 その他 , 暮らす

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日本のトイレは、世界で一番、清潔で快適だといわれます。特に、冬でも暖かい便座、温かいお湯でおしりを洗う機能がある「ウォシュレット」は人気があります。一般家庭だけでなく、賃貸物件や公共施設にも、ウォシュレットが設置されていることが多く、驚かれます。

ウォシュレットという言葉は、普通名称のように使われています。しかし「ウォシュレット」はTOTOが販売している温水洗浄便座の登録商標です。

そこで今回は、TOTO株式会社広報部の松竹博文(まつたけひろふみ)さんに、TOTOの歴史や福岡県小倉のTOTOミュージアムについてお話を伺いました。

100年を超えるTOTOの歴史

画像提供:TOTO

TOTOのルーツは、日本陶器合名会社(現在、株式会社ノリタケカンパニーリミテド)に作った製陶研究所です。1917年に衛生陶器部門を分離した「東洋陶器(現:TOTO)」が設立されました。陶石や長石、粘土などの産地である天草(あまくさ)や朝鮮半島が近いこと、日本だけでなく東洋の市場開拓を視野に入れていたことから、国際的貿易港の門司港(もじこう)から近い福岡県小倉(こくら)に創立したといいます。

1964年には、アメリカンビデ社の医療用「ウォッシュエアシート」の輸入販売を開始し、1969年に国産化。1970年代になると、家庭用の洋式トイレが徐々に増加し、1977年には洋式トイレの出荷数が和式トイレの出荷数を上回りました。

ウォシュレットの登場

TOTOは医療用の温水洗浄便座ではなく、「おしりを洗うという新しい生活文化」を提案するため、ウォシュレットの独自開発に取り組みます。ノズルの位置と角度・水の量と温度・洗浄時間・便座の温度・温風の温度などを調査するため、延べ300人以上の社員の協力を得て、徹底的な検証を開始。この実験により導き出された数値は、今でもほぼ変わっていないといいます。

こうして1980年、国産温水洗浄便座「ウォシュレット」が登場しました。ウォシュレットは、今年の6月に40周年を迎えました。

ウォシュレットの多機能化

画像提供:TOTO

その後も途切れることなく開発は続き、セルフクリーニングやムーブ洗浄、オゾン脱臭など、どんどん新しい機能が追加されていきました。なかでも1999年に登場した「ワンダーウェーブ洗浄」は、機能だけでなくデザインにも大きな変化をもたらします。

今までのように連続的に水を当てるのではなく、水玉にして断続的に当てる方式を採用することで、少ない水量でしっかりした洗浄感が得られ、貯湯タンクをなくすことができました。今ではその水玉に空気を含ませることで、さらに洗浄感が高まっています。ウォシュレットは、シンプルかつコンパクトでありながら、高い洗浄感と省エネ・節水を実現しました。

世界進出

現在、TOTOは日本だけでなく、中国・アジア・欧米などで事業を展開しています。しかし海外では、日本よりデザインが非常に重視されます。また世界では、水洗トイレにおける洗浄水量の規制もあるため、節水に対する技術は重要です。

2017年に発売された「ネオレストNX」は「グローバル統一モデル」です。TOTO独自のクリーン技術をはじめとした機能と、陶器の質感を活かした優美な曲線を描くデザインが融合しています。高い品質と機能を備えながら、美しさも追及した、世界に誇る商品です。

TOTOの歴史に、おもてなしの神髄を発見

TOTOの社是の冒頭には「良品と均質」が挙げられています。

1949年に就任した5代目社長には「1,000個作って不良品が1個なら、不良率は0.1%だが、たまたまそれを購入したお客様にとっては不良率100%だ」と、5年かけて製品化した商品の発売を中止したエピソードがあります。

ウォシュレットは、生産技術や最先端のテクノロジーだけでなく、おもてなしの精神が、その品質を支えているのでしょう。

TOTOミュージアム

画像提供:TOTO

創立100周年を記念して、2015年、小倉に設立されたミュージアムです。「緑豊かな大地」と「水滴」をイメージした、白く美しい建物の2階にあります。TOTOの「ものづくり」に対する想いや歴史、水まわり商品の進化、海外での取り組みなどを見ることができます。代表的な衛生陶器や水栓金具をはじめ、1964年の東京オリンピックの時にホテルへ納入された初代ユニットバスルームなども展示されています。

小倉を巡る観光バスが、見学に立ち寄るなど、人気の高い観光名所です。予約すれば小倉第一工場で、手作業で便器を仕上げる工程などを見学することもできます。便器の形をした小物など、ここでしか買えないお土産も人気です。

多言語対応状況

ホームページ

日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語
https://jp.toto.com/museum/

パンフレット

英語・中国語(簡体字・繁体字)・韓国語・タイ語・ベトナム語・マレー語・ドイツ語・フランス語・スペイン語

音声ガイドペン(無料貸出)

日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語
ガイドマップに音声ガイドペンをタッチすると、解説を聞くことができます。

QR Translator(館内、FreeWi-Fiあり)

日本語、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、ベトナム語、タイ語、アラビア語、インドネシア語、マレー語
各展示室に設置されているQRコードを、自分のスマートフォンやタブレットで読み取ると、解説を読むことができます。

施設詳細

開館時間10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日月曜・夏期休暇・年末年始
入館料無料
予約20名以上で来館する場合、ガイド付き見学を希望する場合、貸切バスで来館する場合は、要予約
*ガイド付き見学は日本語のみ
住所〒802-8601 福岡県北九州市小倉北区中島2-1-1
アクセス
  • 車 無料駐車場完備
    到津(いとうづ)方面より国道3号線を左折して入場
  • 西鉄(にしてつ)バス
    JR「小倉駅(こくらえき)」小倉城口(こくらじょうぐち)から
    21/22/25/43系統バスで約15分「貴船町バス停」下車
  • タクシー
    JR「小倉駅」小倉城口から約10分
  • 北九州モノレール
    「香春口三萩野駅(かわらぐちみはぎのえき)」南口 徒歩で約10分

新型コロナウィルスの感染拡大により臨時休館していましたが、7月1日(水)から再開しています。見学の予約受付、ガイド付き見学、工場見学などは、当面の間、中止です。来場する際は、事前に「日本語のホームページの新着情報」を確認しましょう。

取材を受けてくださったのは

TOTO株式会社
広報部 東京広報グループ
松竹 博文様
https://jp.toto.com/


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