お行事いい?悪い?海外とは全く違う日本の食事の作法
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そばをズルズルっと音を立てて食べる日本人に、外国人がぎょっとするというのは、よく聞きますよね。
この麺類のズルズル音、海外では多くの国でお行儀悪いとされているからです。
こんな風に、国によって食事のマナーやルールはまるっきり違っています。
自国ではお行事悪いと言われていたことが、日本では行儀がいいとされていることもきっとたくさんあるでしょう。
そこで、今回は、日本へやってきた外国人の方のために、日本の食事のマナーやルールについてご紹介します。
コンテンツ
「いただきます」と「ごちそうさま」
日本の食事の作法で、多くの外国人が「?」となるのが「いただきます」と「ごちそうさま」。
食べ始める前に言うのが「いただきます」。
食べ終わった後が「ごちそうさま」。
両手のひらを胸の前で合わせて言う、軽く会釈して言う、言葉のみで動作は伴わないなど、同じ日本でも地域や家庭によってやり方は様々です。
「キリスト教徒の食前の祈りのようなものなの?」と聞かれることもありますが、日本の場合は宗教的なものというよりは、食事前後の作法という方が近いように思います。
食事を作ってくれた人に対しての感謝、食材を作ってくれた農家の人に対しての感謝、命をいただくことへの感謝が込められています。
ただし、絶対にしなくてはならないわけではありません。
外国人にそのような習慣がないことをわかっている人も多いので、「いただきます」と「ごちそうさま」を言わなくても、無作法な人と思われることはまずないでしょう。
お茶碗は持ち上げるもの?
食事中、食器を持ち上げることがNGな国はたくさんあります。
その方が主流ではないかと思うくらいです。
だから、お茶碗を手に持って食べている日本人を見て、多くの外国人が驚いたり、怪訝な顔をします。
お茶碗を持ち上げることに抵抗を感じる外国人は多いのです。
何しろ小さい頃から「食事中、食器は決して持ち上げてはいけない!」と言われて育った人も多いのですから無理もありません。
でも、ご飯を食べる時、お茶碗をテーブルの上においたまま食べるのは日本ではお行儀悪いことといわれていますので、ご注意を!
ただし、全ての器を持ち上げるわけではありません。
基本的に持ち上げるのは、ご飯の入った椀・丼・お重、汁物の入った椀、醤油やつゆなどが入った小皿、前菜や煮物が入った小鉢など、手のひらより小さいものが中心です。持ち上げないお皿は、手のひらより大きいを目安にするといいでしょう。
味噌汁は、お椀に口をつけて飲む!?
お茶碗以上に衝撃的なのが、お味噌汁の飲み方だという外国の方もいます。
何しろ、食器を持ち上げ、さらに器に口を直接つけてすするのですから、正気の沙汰ではないと思う外国人がいてもおかしくありません。
でも、日本ではこれはごくごく普通のスープ類の飲み方。
元々、和食のカトラリーにスプーンというものはなかったわけですから、スープ類を飲むには、コップで水を飲むように、碗を持ち上げて直接口をつけて飲むしかないのです。
というわけで、郷にいれば郷に従え!
ここは思い切ってズズッと味噌汁を頂いちゃいましょう。
でも、どうしても抵抗があるという方は、スプーンをくださいといえば、たいていの場合どこでもスプーンを用意してくれますのでご安心を!
食事中のお行儀のいい座り方
最近は日本の食卓も椅子とテーブルの方が多くなりつつあります。
が、それでもまだ、お座敷(床に座り、座高の低いテーブルの上に食事を並べる)は存在しています。
旅館や、高級日本料理店や、多くの居酒屋ではお座敷があります。
椅子ならともかく、お座敷ではどのように座るのが良いのかわからない人も多いかもしれません。
お座敷での、お行儀よい座り方は、正座につきます。
座布団の上に膝をつきそのまま、かかとの上にお尻を乗せて座る方法です。
が、居酒屋で友人と飲んだりするようなくだけた場では、正座する必要はありません。
座りやすいように座って構いません。
食べる順番は決まってない
西洋料理だと前菜に始まり、スープを飲み、その後にメインのおかずが出て来るのが普通でしょう。
そのせいでしょうか?
ランチの定食で、ご飯と味噌汁とおかずがお盆にのって一度に出てきても、まずは味噌汁を飲み干してからご飯とおかずに取りかかる外国人の姿が時々見られます。
それがいけないわけではないのですが、日本食の場合、『スープが先!』というようなルールはありません。
というか、ご飯、味噌汁、おかずをローテーションで上手に回しながら食べるのが正しい食べ方になります。
日本人も知らないお箸のタブー
日本の伝統的なカトラリーといえば、お箸です。
二本の木の細い棒がセットになったもので、大人用の長さは21〜26cm前後。この2本の木の棒のみであらゆる食べ物を口に運びます。
フォークとナイフとスプーンの文化の人から見ると、お箸で麺類を食べたり、豆をはさんだりするのは驚異的に見えるようです。
日本人が難なく使いこなすお箸。
外国人にとっては、お箸を使うことは、日本の食事の作法の中でも難関中の難関です。
これはもう練習しかありません。
が、このお箸の使い方、タブーがいろいろあるのをご存知でしょうか?
以下のようなお箸の使い方はタブーとされていますので気をつけましょう。
お箸のタブー
- 食べ物にお箸を突き刺す
- どれを食べようか、お料理の上でお箸を移動させながら迷う
- 箸から箸へ、食べ物を受け渡しする
- 器の中の食べ物を探るようにお箸でかき混ぜる
- お箸を使って器を引き寄せる
- 小皿やお椀の上に箸を置く
- お箸をなめる
- ご飯にお箸を突き立てる
- お箸で人を指す
- お箸で器を叩いて音を出す
お箸を使うのは無理、お箸を使うことに必死で食事が楽しめないというような場合は、遠慮なく、フォークやスプーンを使いましょう。
残さず食べることが良いとされる文化
国によっては、残すことが食事のマナーとして良しとされる国もありますが、日本は、残さずに食べることを良しとする文化です。
とはいえ、無理してまで食べきる必要はありません。
これ以上食べられない場合、どうしても口に合わないものがある場合、残しても構いません。
一番大切なのは楽しくおいしくいただくこと
食事のマナーやルールは国それぞれ。
フォーマルな席での作法を言い始めればそれこそ山のようにいろいろなことを覚えねばなりません。
ここでは、基本的な日本の食事のマナーやルールを紹介しましたが、一番大切なのは、みんなが気持ち良く、食事を楽しめること。
食事の時間は楽しくくつろげる時間であるべきです。
作法も大事ですが、それ以上にみんなで楽しく、おいしくいただけることが何より大事ではないでしょうか?