外国人が解雇されたら?在留資格(ビザ)の注意点

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新型コロナウイルス感染症の拡大や緊急事態宣言の影響で経営状況が悪化し、事業の縮小や人員整理を検討する企業が増えています。そのため、解雇され、再就職先を探している外国人の方々も増加しています。

解雇された場合、「在留資格(ビザ)」に留意する必要があります。そこで、今回は、解雇や再就職に関連する手続きや留意点についてご説明します。

解雇された時に必要なこと

在留資格が「技術・人文知識・国際業務」、「技能」などの場合

在留契約終了日から14日以内に、住所を管轄する地方出入国在留管理局に「契約機関に関する届出」を提出し、退職の報告をする必要があります。(在留資格によっては「活動機関に関する届出」)

技能実習

退職日から14日以内に、監理団体を通じて「活動機関に関する届出」を提出し、契約終了の報告をする必要があります。実習先・監理団体に対応済みか否か確認しましょう。

特定技能

退職日から14日以内に、地方出入国在留管理局に「契約機関に関する届出」を提出し、契約終了の報告をする必要があります。

留学生アルバイト、身分系(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)

地方出入国在留管理局への連絡は必要ありません。

再就職活動中に気をつけること

会社の事情による解雇・雇止めの場合、現在保有する在留期限までは就職活動を行うことができます(技能実習生以外)。資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内のアルバイトも可能です。

もし在留期限までに就職が決まらない場合は、地方出入国在留管理局に、在留資格を「特定活動(就職活動)」へ変更する申請することにより、就職活動の期限を延長することができます。6か月の期間が付与され(延長の可能性あり)、同時に資格外活動許可を取得すれば、引き続き、週28時間以内のアルバイトも可能です。

再就職先を見つける時に気をつけること

在留資格ごとに、できる仕事・できない仕事が決められています。まずは、現在従事している仕事または保有している在留資格で、認められている範囲の仕事を探しましょう。

そのような仕事が見つかった場合、雇用契約を締結後14日以内に「契約機関に関する届出」または「活動機関に関する届出」を地方出入国在留管理局に提出し、勤務の開始を報告します。

新しい職場での新しい仕事が、現在保有している在留資格で問題ないか、確認したほうがよい場合もあります。就職先に相談して「就労資格証明書交付申請」を行い、確認しておくとよいでしょう。

就職活動が長引き、「特定活動(就職活動)」の在留資格に変更していた場合は、在留資格の変更が必要です。

現在の在留資格で認められる仕事が見つからない場合

技能実習生も含め、特定技能14分野の仕事が見つかった場合は、「技能」を習得する名目で、最大1年間、「特定活動」という在留資格に変更して、仕事をすることができます。(製造業のみ例外あり)

「特定技能」で受け入れ可能な14分野

介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

例えば、建設会社に所属し実習をしていた実習生が、農業の分野で働くことが可能になります。

現在、次々と新しい措置がとられています。解雇だけでなく、「国に帰れない!」など、さまざまな在留資格に関する相談もあるでしょう。気軽にぜひ専門家に相談してみてください。

この記事を書いた人 行政書士 笠間由美子(行政書士かさまゆみこ事務所)

プロフィール

神奈川県行政書士会 国際部 副部長
国際協力NGOにてアジア・アフリカ・中南米の途上国支援に従事後、行政書士へ転向。在留資格(ビザ)・国籍の手続を通して外国人支援を行うとともに、中小企業の外国人材活用に対するコンサルティングなどにも取り組む。
国やビザの種類を問わず、幅広く対応。事情のある案件、難しい案件への挑戦を得意分野とし、技能実習や特定技能にも積極的に関わる。

  • 川崎市 市民文化局人権・男女共同参画室 人権施策推進協議会 市民委員
  • 川崎商工会議所 外国人雇用支援研究会 メンバー
  • 公益財団法人川崎市産業振興財団 経営指導相談員(外国人雇用)
  • 川崎市国際交流協会 ボランティア
  • 神奈川県中小企業団体中央会 「特定技能」問題研究会 コーディネーター
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